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2025年10月14日
日本セラミックス協会 第38回秋季シンポジウムにおいてFCDIC最優秀プレゼンテーション賞を受賞しました
令和7年9月17日~19日に群馬大学荒牧キャンパスで開催された日本セラミックス協会第38回秋季シンポジウムにおいて、環境創生理工学教育プログラム博士前期課程2年の吉田 美海さん(佐藤・神成研究室)が「FCDIC最優秀プレゼンテーション賞」を受賞しました。
発表題目は“Gd0.2Ce0.8O1.9(GDC)ナノ粒子分散Metal Organic Deposition (MOD)によるバリア層形成の検討”です。電解質と電極との反応を抑制するための緻密なGDCバリア層の形成は固体酸化物燃料電池(SOFC)および固体酸化物形電解セル(SOEC)の高性能化・高耐久化に不可欠です。しかしながら、電解質とバリア層を同時に焼成する従来の共焼結プロセスでは、1300 ºCを超える高温での熱処理が必要であり、これによりバリア層と電解質との間で構成元素の拡散が生じて特性が著しく低下することが知られています。そのため、比較的低温で成膜が可能な気相蒸着法が緻密なGDCバリア層の形成に用いられてきましたが、量産性に乏しく非常に高コストであり実用化には不向きです。吉田さんは、GDCナノ結晶を分散した有機金属錯体水溶液を前駆体として用いる独自のウェットコーティングプロセスを構築し、構成元素の拡散がほとんど生じない1100ºCの低温で緻密なGDCバリア層を作製することに成功し、これを用いた高出力密度SOFCを実証しました。
なお、本賞は、日本セラミックス協会第38回秋季シンポジウム「エネルギー変換・貯蔵・輸送セラミックス材料の基礎と応用」セッションにおいて燃料電池に関する研究発表を行った若手研究者の中で最も優秀な発表を行った発表者に対して一般社団法人燃料電池開発情報センター(FCDIC)より与えられました。